VOICE【短編集】



雨は続いていた。
頭痛はさらに増して、吐き気がするくらい。


先程の女が靴音も高く去っていった玄関を見つめたままだった俺は、ふと我に返った。


「ヤバッ、電話」


慌ててリダイヤル。


1コールで返ってきた台詞は。


『テメエ、イき死ねよ』


うわ、うわー。相当キレてる。


ここまでキレてる彼を知らない。これはマズいと感じてとにかく謝ろうと思った、ら。


「ごめ……『何があったか知らねーけど、悩みがあるなら言えっつーの!』


昨日だって、と言葉を続ける彼の声は右から左へ通り抜ける。


どうやら昨夜遅くに、散々酔った俺は彼に電話越しにクダを巻いたようだ。そして今日、朝から某テーマパークに行こうと無理矢理誘ったらしい。


全く覚えてないんだけど。でもそんなことどうでも良くて、いやホントは良くないんだけど。


唐突に、なんだか洗いざらい吐き出したくなった。


「雨が、嫌いなんだ」


『え?』