VOICE【短編集】



そういえば昨日は行きつけの飲み屋でかなり飲んだくれた記憶がある。


「生ビール3杯と、焼酎を……どんだけ?」


記憶が途中で途切れている。いつものパターンだ。
雨が降る日は部屋に帰りたくなくて、いつも酔いに行く。散々酔っ払ってからなら帰れるから。


顔も覚えてない相手を起こさないように、そっと寝室を抜け出した。
キッチンまで忍び足でたどり着いて、冷蔵庫に手をかけようとした、その瞬間。


「わ!驚いた!ケータイか……」


ダイニングテーブルの上に放り出したままの携帯電話が無音のままで振動していた。どうやらマナーモードのままだったようだ。


とりあえず冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターを片手に、テーブル上の携帯電話を掴んだ。


表示された相手の名前に、少しだけ意外な気がして何事かと思いつつボタンを押した。


「はいはーい、どうしたのー?」


落ちてる気分を上げようと、いつも通りの能天気な声音をケータイに向けた。