雨が嫌いだ。


あの人がいなくなった日と同じだから。












ザーザーと降る六月の雨は3日前から降り止むことを忘れたかのように続いていた。


窓を叩く雨音で目が覚める。薄暗い早朝。


「……くそ、いい加減降るの止めろよ」


重い頭を無理矢理に覚醒させて、身体を起こした。
3日前から頭痛が続いている。鈍く痛む頭を切り離したいくらい、鬱陶しい。


顰めっ面のまま、ベッドを抜け出す。


「ん……」


微かな声に振り向いた。そこにあるのは、真っ白なシーツに流れる艶やかな黒髪。


覚えてない。


咄嗟に頭をよぎるそんな言葉。


「あーー……またやった」


変わらず鈍痛を訴える頭を片手で押さえていた。