──それから数週間後。


僕と葵さんは最寄りの駅前で待ち合わせをしていた。もちろん僕はいつものあのファッションで。


相変わらず道行く女の子たちの服装をチェックしてしまう。どれもこれもありきたり。つまらない。そう思って小さく溜め息を吐いた時。


「お待たせー」


ポンと肩をたたかれた。振り返ったそこにはもちろん葵さん。
長い足にぴったりなスリムなジーンズに白いシャツと黒と白のチェック柄のストール。さらに頭にはスタッズ付きの黒のハット。


「かっこいい!!葵さん、めっちゃ似合ってる!」


「そう?私なんかより登のが似合ってんじゃない?この頭のちっさい帽子可愛いね」


なんて褒め合いながら僕たちは歩き出した。


からりと晴れた空の下、向かう先はあのバンドがいる遊歩道。


「ほら、登」


笑顔で葵さんが綺麗な手のひらを僕に差し出す。その手のひらに僕は手を伸ばした。少しひんやりとした、でもとっても温かい葵さんの手が、僕は大好きだと思う。


僕にとっての宝物。
それはあの歌声と。
この、手のひら。









《END》


*ぐだぐだになりました。申し訳ない。