出会わなければ、平凡だけど幸せだったかもしれない。 少し前まで、出会わなければよかったと思っていた。 …でも、なんでかな。 気付いたら、ユキさんのことを知りたいって思う自分がいて。 近付きたいって思う自分がいて。 あんなオレ様な人なのに、どうして。 『ピーッ』 そこまで考えて、食器洗い機が洗浄終了の合図を知らせる音で、私はハッと意識を現実に戻した。 …いけない、いけない。 何を考えてるんだろう。 私は家政婦で、彼に命を握られてるというのに。