「…さっき、言わなかったんだけど」 昴くんが、少し言いにくそうにそう切り出した。 「なに?」 「カオリさんのこと。」 『カオリさん』という言葉に、ユキさんの書斎で見たあの写真と、カオリさんのことを話していたときのユキさんの顔を思い出した。 昴くんは、そんな私の変化に気付いたようで、すぐに話すのやめようか、と言ってきた。 …これ以上、私が『カオリさん』について知ったところで、敵わないと思うだけだろうけれど。 「…大丈夫、続けて?」