【完】キスミーアゲイン

…何が起こったのか、わからなかった。

ただ、言おうとした言葉が耳に届くことはなく、口から紡ぎだされることもなく、くぐもった音になったということは頭が冷静に理解していた。




でも、この状況だけはどう頑張っても理解出来そうになかった。

私の言葉が口から出ることを許さなかった、ユキさんの唇。




…一瞬の出来事だった。

あっという間に顎を固定されて、唇を重ねられて。

瞼の閉じ方を忘れたかのように、私の瞳は見開かれたままだ。


視界いっぱいに、ユキさんが映る。