「あーもぉっ!最悪だぁー!!!」 カツカツ、とハイヒールが地面を鳴らす音だけが辺りに響いていた。 もうすぐ終電が出るような時間だった。 繁華街で友達と飲んでいて、お互い明日も仕事があるし、ということで終電前に別れたのだった。 友達の方はタクシーで帰る、というセレブなことをして帰っていったが、私にはあいにく自宅までタクシーで帰る勇気はない。 だから、終電を逃がすなんて出来ない。 あと、5分! この道を走りぬければ、駅前だ。