……いや落ち着け、俺。

まずは落ち着こう。


ひょっとしたらサガラを名乗ったイタズラかもしれねーし。



俺は個室を出ると、ポケットからタバコを出してくわえた。


便所の小さな窓のそばで火を着けて、深呼吸のように大きく吸いこむ。


授業開始を告げるチャイムが、空高く響いている。



「サガラ……ありえねー」




――『サガライズミ』は俺と同じ1年B組の女子で

校内でその存在を知らない生徒はいないと思う。