そのメールが届いたのは、3時間目の授業が始まる直前。

教室移動で廊下を歩いていたときだった。



「ヒロ、どしたー?」


携帯を見つめたまま固まる俺に、タカシが声をかけてくる。


その様子からすると、俺のアドレスを言いふらしたことを本人はすっかり忘れてるらしい。



「あ、いや、別にっ」


俺はとっさにタカシから携帯を隠した。



「そ? じゃあ早く行こうぜ。美術室まで遠いし」

「いや……あの、俺、便所行きてーから先行ってて」