土曜に向けて俺のテンションは、我ながらちょっと異常だった。


美容院で髪型変えてみたり。

新しい服を買ってみたり。

夜中に腹筋してみたり。

明け方に腕立て伏せしてみたり。

そんで筋肉痛で死んでみたり。


ドキドキして、じっとしてらんなくて。


自分の中がこんなに一色で染まるなんて、空手やってたとき以来だ。


てゆーか空手のことを思い出しても苦い気持ちにならないのは、サガラのおかげだ。



――『まるで、ヒーローみたいって思ったんです』



サガラの言葉を思い出しながら、俺は鏡の前でひとり、2年ぶりに空手のカタを練習したりもした。