「ヒロく~ん。切ないため息ついて、どうしたのさ」
どすっ……!と右肩に乗る体重。
この登場の仕方は、
「……土屋先輩」
「ひっさしぶり~」
廊下の窓辺でたそがれていた俺の哀愁を、ぶち壊すような能天気な先輩の声。
そういえば今週はサガラのことばっか考えてて気づかなかったけど、先輩と全然遊んでなかった。
「最近忙しかったんすか?」
「いや~、こないだのテストが最悪で、このままじゃダブるとか言われちゃってさ。さすがに親父がキレてっから、しばらくおとなしくしとこうと思って。はははっ」
留年の危機にあるとは思えない、のん気な口調で先輩が言う。



