「私の家、青木会館の隣なんです」 俺は言葉を失った。 青木会館とは、俺が通っていた空手の道場のこと。 館長の青木さんは、その世界ではけっこう有名な空手家だった。 試合では一撃必殺の強さを誇り、 道場を出れば奥さんを大切にする優しい人で、 俺の憧れの人…… 俺の、ヒーローだった。 「私、時々こっそり練習風景をのぞいていたんです。 自分ではあんな風に戦ったりできないから、見てると興味をそそられて」 「それで、俺の顔も覚えてたってわけ……?」