「え? あ、ホントだ」 先輩は空き缶を握りつぶすと、フワフワした足取りで冷蔵庫に向かった。 そのすきに俺は部屋から逃げ出した。 ――『昔はマジ空手バカでさ~』 あぁー……くそ。 土屋先輩は楽しい人だけど、小学校から俺を知ってるのが困る。 昔の自分なんて、自分でも忘れちまいたいのに…… 「ヒロくん」 「うわっ」 避難してた便所から出ると、廊下でユミ子ちゃんが待ち伏せしてた。