「あ、松下くん!」

絶対声かけられないと
思っていたから
その言葉が意外すぎて
なかなか反応できなかった。

「松下くんってば
他人のフリしないでよ。
私このクラス
友達全然いないんだから
助けてー!!」

そう言って彼女は
またため息をついた。

そっか、多分
俺がいることじゃなくて
友達とクラス離れたことに
ため息ついてるのか。


「さっきからさそればっか…
幸せ逃げるよ?」

普通に喋れた俺!

「いやいやいや
あのクラス替え見た瞬間
逃げる幸せも
失くなりましたよ…。」

新学期というのに
死にそうなこの女子高生。
相当ショックなんですね。
お気持ちご察しいたします。


と言いたいところなんだけど
俺と喋ってくれたことが
嬉しすぎて
あんまり心配はできなかった。