「はい、どうぞ。」 その小さな掌に乗せる。 「お姉ちゃん、ありがとう!」 丁寧にお礼を言うと、 反対側を向いて大きな声を出した。 「川崎先生〜!お姉ちゃんがボール取ってくれたよ〜!」 川崎…先生…? 「よかった、よかった。ごめんね、達也く……」 駆け寄ってきた男性と、ばっちり目が合う。 「川崎先生…」 「あれっ!?大野さん?」 先生はびっくりしたように目を見開いた。 左手にはグローブ。 いつもは着ている白衣も、 今は着ていない。