「あらた!オイ、新!」


・・・ん?なんだよ。

「起きろよ!」

うるせーなー。もっと寝かせろよ。


高1の夏。

蒸し暑い朝、それでも俺は寝ていた。


だけど、起こされた。


この、朝からうるさいのは宮野 仁。


中学からの親友だ。


「なんだよ・・・。」

まだ重いまぶたをこすり、ゆっくりと起き上がる。



時計を見ると、まだ朝7時。

ここは、俺の家。


ていうか、なんで仁がいんの?



勝手に入ってきたのかよ。

相変わらず、ずうずうしい奴だな。

「先輩が呼んでる!」

「は?」

「表来いだって!!どうする!?」

どうするもなにも、

「行くしかないっしょ。」

ゆっくりと立ち上がる。


こんな朝早くから呼び出しかよ。
俺はまだ上半身裸で、短パンをはいているだけの状態。

それでも、行く。

ていうか、着替えんのメンドイ。
そもそも、ケンカに正装なんてしてくる奴いねぇか。


「オイ!黒木!!いるんだろ!?出て来いよ!!」


外から聞こえるどなり声。

うるせーな。
こっちは寝起きなんだよ。

つーか、ヤンキーがこんな早起きって



カッコ悪っ。



「いーま行くから待っててくださーイ。」

適当に返事をする。


「っくぁ。あー。」

大きなあくびをして立ち上がる。
足元はおぼつかない。


「頑張れよ。」

仁は、俺の背中をポンと叩いて送り出す。

いや、別に頑張るとかないから。


あいにく、今日親はいない。

まぁ、滅多に帰ってこないけど。


玄関のドアを開け、外に出ると
学ランを着崩し、ヤンキーぶってる男が3人。

「よー黒木。よく眠れたか?」

いや、ドラマか!!っつーの。


「うん。今起こされた。もっと寝たかった。」

視界がまだぼやけてる。


「寝ボケてんじゃねーよ。」

いきなり殴りかかってきた。

オイオイ冗談だろ?
こっち寝起きだぜ?

きったねー野郎だな。