「オーッス☆早くいくぞ!!ののか!」


肩を叩かれたと思ったら、そこにはリョウがいた。



事故に会ったなんて思わなくて、リョウは
前のままだった。


「リョウ・・・・。」


せっかく、リョウがいるというのに素直に喜べない。



「どうしたんだ?早く行こうぜ。」


え・・・?学校はもう終わった。


今は夕方だ。


「どこに・・・?」



私の質問には答えず、リョウは歩き続ける。



「ちょっ・・・待って・・・。」



慌てて走り出す。


しかし、リョウは遠ざかる。


「待って・・・行かないでよ・・・!!」


叫んでも、リョウは歩き続ける。




そして、消えてしまった。


フっと。



そうして、私は今のは幻覚だったんだと気づいた。





いや、性格に言えば気づいていた。



会った瞬間から分かってた。


だから、素直に喜べなかったんだ。









少し暑い、夏がきたんだと感じる日。


学校の帰り道、あと2つ角を曲がれば家に着くというところで
大好きな人を思いだし、


幻覚を見て、


後悔して、


自分を責めて・・・・・





地面にうずくまって泣いた。




声なんか出せない。


人通りが少なかったのはいいが、さすがに泣きわめくような事はできなかった。