放課後、私は教室を飛び出し、中央総合病院へ向かった。


リョウの病室は209号室。



手にはお見舞いのみかん。



ドキドキする。


また、「だれ?」とか言われたらどうしよう・・。




ま、そうなったらちゃんと自己紹介しよう!



私は、無理にでもポジティブになって
ドアをノックした。




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今日、学校に行くと
リョウの事は、大きな噂になっていた。



いったい誰が流したのだろう・・・。



まぁ、どっちみち先生がホームルームで言ったからいいか。



『4組の中谷リョウが記憶喪失だって。』

『まじ!?なんで!?』

『昨日、車にはねられたらしいよ。』

『昨日!?』

『うん。運転してた人、まだ捕まってないんだって。相手の一方的な信号無視らしいよ。』

『え!?じゃぁ、ひき逃げってこと!?』



そんな会話が、いやというほど耳に入ってきた。




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「どうぞ・・」


リョウの声だ。


「失礼します。」



そっとドアを開ける。


そこには、ベッドに座ってるリョウがいた。


私の顔を見るなり、「あっ」っという顔を見せた。



ペコっとお辞儀をすると、


「昨日の・・・」



とつぶやいた。




覚えててくれたんだ。



今、病室には私とリョウの二人だけ・・・。




緊張する・・・。



幼馴染なのに・・・