「お前ホント可愛いよな」
そんな言葉が聞こえた。
自分のコトじゃない気がして、
ひどく他人事に感じた。
高校の学園祭が終わって
片付けもせずに、
私達生徒は
後夜祭を楽しんでいた。
もともとイベント好きな学校。
後夜祭は毎年恒例の内容なのに
ひどく盛り上がっている。
「去年よりテンション高いよね」
同じクラスの女の子がいう。
私にはどうでもよかった。
学園祭を3日間もやって
疲れ果ててしまった。
「帰っていいかな。こんなの、先生も出席とらないよね」
そう告げて
盛り上がる体育館を後にする。
「え?!ちょっと、詩花?!」
同じクラスのコ達が騒いでる。
『あいつ、付き合い悪いよ』
はっきり聞こえる悪口。
でも別に、今はいい。
もう家に帰りたい。
人付き合い、上手くないのに。
3日間もクラスと人付き合いして
接客して
膨大なエネルギーを使ったよね?
だからもう
帰っていいじゃない。
だめだとしても、帰る。
そう、思ったのに。

