身支度を終えた澤辺さん。
もう帰っちゃうんだ…。

「じゃ帰るね。」
ドアの前でキスをした。

「気を付けて。」

「またね。」
澤辺さんが言う。

私は手を振る。

そしてドアが閉まる。


私は
すぐさまベッドにもぐり込んだ。
澤辺さんをそこに感じたかった。
まだ温もりの残る少し湿ったシーツ。


さっきまで…
ここにいたのに。


私の頭の中は澤辺さんでいっぱいになっていた。

携帯を取り出して
澤辺さんとのメールのやりとりを
眺めていた。


暗黙の了解事項。
澤辺さんが家に着いた時点で
メールのやりとりは即終了。
朝は澤辺さんからメールが来るまでは
メールを送れない・・・。
電話だってそう。
私は自分からしたことは殆どない。
いつも待ってばかりだな・・・。


今だってそう。
澤辺さんちゃんと家に着いたかな。
そんなことを考えて。
気になってもメールはできない。
もちろんメールはこない。
寂しい…。
仕方ない。
そういう関係なのだから。


次はいつ会えるんだろう…。
早く会いたい。
早く澤辺さんに抱かれたい。