蜜柑寮より愛を込めて


「何?この女??」

「もしかして、また門の鍵盗まれたのか??」

「もぉー。誰、盗まれたのー?また麗ちゃん??」

「ちげーよ!!俺じゃねぇ!」

「…啓(サトシ)は、違いそうだよな。深憂(ミユウ)か??」

「うん。僕じゃないよ。でも、みゅうじゃないでしょー。だって、みゅうすごい女嫌いじゃん。…とか言って、実は、律(リツ)なんじゃないのー??」

「違う。俺の好みはもっと知的な女だ。…じゃ、淕か??」

「違う。」

「じゃぁ…こいつ…俺らのファンか??」



男たちが一通りしゃべって、全員柚実を見た。

(…も…しかして…。)

この状況を見て、柚実の脳裏にひとつの可能性が浮かんだ。

「あ…あの!!」

柚実が一歩前に出る。

すると、男たちは2歩後ろに下がった。

(??)

「…え??何で下がるの??」

実柚は、きょとんとする。

「あ…のさ…包丁置いてくんない??」

柚実は、自分の右手を見る。

鋭くとがった包丁がしっかり握られていた。

「あ。ごめんなさい。」

柚実は、苦笑いしながら包丁をまな板の上に置いた。

そして、気を取り直してこう聞いた。

「もしかして、あなたたちが…蜜柑寮の寮生??」と。