☆
「でもよく、私達が姉妹って分かりましたね」
似てないって言われるんですよ。
梅にそう言われ、景子はアハハとごまかし笑いを浮かべた。
「な、なんとなくです…雰囲気が似ていたので」
とぼけた顔してババンバン。
でもこう言っておけば、実はちょっと鋭い観察眼の人、くらいでおさまるのだ。
本当のことなど、伝える必要はなかった。
「そうですか…不思議な方ですね」
鋭い方、とは違う表現に、景子は苦笑した。
梅こそ、鋭い人ではないか、と。
そんなやりとりをしている内に、苗の梱包が終わる。
抱えても着物を汚さないように、きっちりと仕上げを終えた。
苗を渡そうとして、景子は一瞬動きを止める。
どちらに渡そうかと、悩んだのだ。
両手が開いているのは、梅の方。
逆に、菊は両手ともふさがっていた。
片方は、蛇の目傘。
もう片方は──美しい布でくるまれた長細いもの。
最初は、竹刀袋かと思った。
しかし、それにしては美しい金糸の入った袋なので、ただの竹刀を入れているとは思いがたかった。
そして、景子が気にしているもう一つのこと、というのがその袋だった。
ぽわっと、光を放っているのだ。
生きているものが光るのを、彼女は経験から知っている。
しかし、無機物で光るものは物凄く少ない。
よほどの職人が、魂を込めて作った作か、作られた後に人にとても愛されたものか。
どちらにせよ、何らかの魂が込められたものだろう。
とてもいまの状態の菊に、苗を渡すことはできそうになかった。
しかし、両手で抱えられはするものの、身体の弱そうな梅に渡していいものか。
「大丈夫です…私が持ちます」
彼女の悩みを汲んだのか、梅が両手を差し出す。
はあ、と。
支払いが終わった後、景子は悩みながらも苗を彼女に受け渡した。
刹那。
景子のメガネが──大きくずれた。
「でもよく、私達が姉妹って分かりましたね」
似てないって言われるんですよ。
梅にそう言われ、景子はアハハとごまかし笑いを浮かべた。
「な、なんとなくです…雰囲気が似ていたので」
とぼけた顔してババンバン。
でもこう言っておけば、実はちょっと鋭い観察眼の人、くらいでおさまるのだ。
本当のことなど、伝える必要はなかった。
「そうですか…不思議な方ですね」
鋭い方、とは違う表現に、景子は苦笑した。
梅こそ、鋭い人ではないか、と。
そんなやりとりをしている内に、苗の梱包が終わる。
抱えても着物を汚さないように、きっちりと仕上げを終えた。
苗を渡そうとして、景子は一瞬動きを止める。
どちらに渡そうかと、悩んだのだ。
両手が開いているのは、梅の方。
逆に、菊は両手ともふさがっていた。
片方は、蛇の目傘。
もう片方は──美しい布でくるまれた長細いもの。
最初は、竹刀袋かと思った。
しかし、それにしては美しい金糸の入った袋なので、ただの竹刀を入れているとは思いがたかった。
そして、景子が気にしているもう一つのこと、というのがその袋だった。
ぽわっと、光を放っているのだ。
生きているものが光るのを、彼女は経験から知っている。
しかし、無機物で光るものは物凄く少ない。
よほどの職人が、魂を込めて作った作か、作られた後に人にとても愛されたものか。
どちらにせよ、何らかの魂が込められたものだろう。
とてもいまの状態の菊に、苗を渡すことはできそうになかった。
しかし、両手で抱えられはするものの、身体の弱そうな梅に渡していいものか。
「大丈夫です…私が持ちます」
彼女の悩みを汲んだのか、梅が両手を差し出す。
はあ、と。
支払いが終わった後、景子は悩みながらも苗を彼女に受け渡した。
刹那。
景子のメガネが──大きくずれた。


