「でもよく、私達が姉妹って分かりましたね」

 似てないって言われるんですよ。

 梅にそう言われ、景子はアハハとごまかし笑いを浮かべた。

「な、なんとなくです…雰囲気が似ていたので」

 とぼけた顔してババンバン。

 でもこう言っておけば、実はちょっと鋭い観察眼の人、くらいでおさまるのだ。

 本当のことなど、伝える必要はなかった。

「そうですか…不思議な方ですね」

 鋭い方、とは違う表現に、景子は苦笑した。

 梅こそ、鋭い人ではないか、と。

 そんなやりとりをしている内に、苗の梱包が終わる。

 抱えても着物を汚さないように、きっちりと仕上げを終えた。

 苗を渡そうとして、景子は一瞬動きを止める。

 どちらに渡そうかと、悩んだのだ。

 両手が開いているのは、梅の方。

 逆に、菊は両手ともふさがっていた。

 片方は、蛇の目傘。

 もう片方は──美しい布でくるまれた長細いもの。

 最初は、竹刀袋かと思った。

 しかし、それにしては美しい金糸の入った袋なので、ただの竹刀を入れているとは思いがたかった。

 そして、景子が気にしているもう一つのこと、というのがその袋だった。

 ぽわっと、光を放っているのだ。

 生きているものが光るのを、彼女は経験から知っている。

 しかし、無機物で光るものは物凄く少ない。

 よほどの職人が、魂を込めて作った作か、作られた後に人にとても愛されたものか。

 どちらにせよ、何らかの魂が込められたものだろう。

 とてもいまの状態の菊に、苗を渡すことはできそうになかった。

 しかし、両手で抱えられはするものの、身体の弱そうな梅に渡していいものか。

「大丈夫です…私が持ちます」

 彼女の悩みを汲んだのか、梅が両手を差し出す。

 はあ、と。

 支払いが終わった後、景子は悩みながらも苗を彼女に受け渡した。

 刹那。

 景子のメガネが──大きくずれた。