アリスズ

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「ありがとうございます…喜んでお受けいたします」

 赤ん坊を抱いたウメは、すぐに頷いた。

 訪ねた家にいるのは、女が三人。

 エンチェルクは、自分の主人の決定を、本当に嬉しそうに見守っている。

 子が出来ると、女はそうなのだろうか。

 東翼妃もウメも、肝が据わるというか。

 生き場所を、しっかりと見つけた目をしている。

 キクは、黙っていた。

 考えているのだろう。

 何を、考えているのだろうか。

「人に…」

 キクが、小さく切り出した。

「人に…お前は誰だと問われたら、私はいつも『日本人だ』と答えてきた」

 腰にいつも下げる、不思議な剣。

 衣装こそ、いまこちらの国のものを身につけてはいるが、その立ち姿は誰にも似てはいない。

「私は…日本人のまま、お前の妻になりたいと思っている」

 まっすぐな声。

 誇り高い声。

 美しい女。

 そうだな。

 ダイは、分かっていた。

 この女を、妻にしようと思ったのだ。

 分かっていたことではないか。

 彼女は、最初から自分の生まれた国を誇っていた。

 それを、自分の背から簡単には下ろせないのだ。

「死ぬまで、私は『日本人だ』と名乗りたい」

 まっすぐにダイを見る瞳は、最初に会った時のまま。

 ウメという荷物を、彼女は下ろした。

 また、風のような女になるのだろう。

「分かった」

 ダイは、答えながらも一つだけ決意していた。

「キク…」

 ウメがいる。

 エンチェルクがいる。

 そんな中で、彼女を呼んだ。

「キク…式を挙げよう」