□
近隣管理室は、都の内畑と外畑、隣領土までを管理する部署だという。
ケイコが余り遠くまで行かずに済むように──そんなアディマのワガママを、リサーが聞き入れて判断した結果が、そこだったのだ。
思えば、子供じみたワガママだった。
ケイコの能力は、こんな狭い範囲だけで済ませていいものではないというのに。
室長は、顔色の悪いやせた男だった。
「『連作障害』の資料を提出したのは、この室だと聞いたが」
アディマは、軽く部屋の中を見回した。
だが、ケイコの姿はない。
「ええ…まだ実際に試験をしたワケではありませんが…税務府から依頼があれば、外畑で試験する予定にしています」
室長は、淡々と語った。
「税務府から…?」
アディマは、微かにその音に非難を込める。
君は農林府の役人ではないのか、と思ったのだ。
「そうです…我々は、外畑の管理を任されてはおりますが、その土地を好きに使うことは出来ません。違うことをするためには、上からの命令が必要なのです」
暗に彼は、農林府の上の役人では、この命令は出せないと言っているのだ。
「だから…税務府に流したのか」
アディマは、微かに笑った。
そうか、と。
何故、税務府が連作障害のことを知っていたのか不思議だったのだ。
あの府長が、自ら持っていくくらいの気概があれば、とっくに外畑での試験を指示しているだろう。
「君は、連作障害の対処法に期待をしているというわけだな」
「全ては、ただこの国のためです…」
室長は、それが悪いことであるかのように言う。
何を、悪いことがあろうか。
悪いのは、それを悪いと思わせるような体制の方である。
「連作障害の報告を出した者は、誰だ?」
知っていながら、アディマは聞いた。
すると。
室長は、視線を空白の机の方へと向けるのだ。
「いま…税務府の方に行っております」
アディマは、目を閉じた。
その声音に微かに含まれる、不思議な響きを聞き分けるために。
近隣管理室は、都の内畑と外畑、隣領土までを管理する部署だという。
ケイコが余り遠くまで行かずに済むように──そんなアディマのワガママを、リサーが聞き入れて判断した結果が、そこだったのだ。
思えば、子供じみたワガママだった。
ケイコの能力は、こんな狭い範囲だけで済ませていいものではないというのに。
室長は、顔色の悪いやせた男だった。
「『連作障害』の資料を提出したのは、この室だと聞いたが」
アディマは、軽く部屋の中を見回した。
だが、ケイコの姿はない。
「ええ…まだ実際に試験をしたワケではありませんが…税務府から依頼があれば、外畑で試験する予定にしています」
室長は、淡々と語った。
「税務府から…?」
アディマは、微かにその音に非難を込める。
君は農林府の役人ではないのか、と思ったのだ。
「そうです…我々は、外畑の管理を任されてはおりますが、その土地を好きに使うことは出来ません。違うことをするためには、上からの命令が必要なのです」
暗に彼は、農林府の上の役人では、この命令は出せないと言っているのだ。
「だから…税務府に流したのか」
アディマは、微かに笑った。
そうか、と。
何故、税務府が連作障害のことを知っていたのか不思議だったのだ。
あの府長が、自ら持っていくくらいの気概があれば、とっくに外畑での試験を指示しているだろう。
「君は、連作障害の対処法に期待をしているというわけだな」
「全ては、ただこの国のためです…」
室長は、それが悪いことであるかのように言う。
何を、悪いことがあろうか。
悪いのは、それを悪いと思わせるような体制の方である。
「連作障害の報告を出した者は、誰だ?」
知っていながら、アディマは聞いた。
すると。
室長は、視線を空白の机の方へと向けるのだ。
「いま…税務府の方に行っております」
アディマは、目を閉じた。
その声音に微かに含まれる、不思議な響きを聞き分けるために。


