アリスズ


 二人の女のおなかがピカピカしている状態で──無事、小さな温室は完成した。

 景子は、ジャングルに分け入って、その温室に移すにふさわしい植物を吟味していた。

 樹木も入れたい。

 南国の植物は、どうにも背が高くなりがちだが、剪定によりそれを制限することも可能ではあった。

 しかし、ロジューは奔放な性質の植物を愛しているようで、剪定を嫌がる気がする。

 地面に膝をついて、景子は手を動かしながらも、色々と考え込んでいた。

 そんな時。

 ガサッ。

 長い植物をかきわけるように、ロジューの馬がジャングルに入ってきた。

 いつも、荷馬車を運ぶ片割れ──ケールリの方だ。

 ケーコが、馬扱いされた原因だった。

「あれ…おまえ、ジャングルに入ってきちゃだめでしょ」

 足元に絡む、力の強い植物も多いのだ。

 普段は、街道を歩くために整えられている馬には、ここは迷い込むにはよくない場所に思えた。

 洋犬を思い出させる長い顔を、暑そうに振りながらも、ケールリは聞いちゃいない。

 景子は、何とか馬をジャングルから出そうとした。

 だが。

 その時、彼女自身が、足元を怠ってしまったのだ。

 あっと思った時には、既に遅く。

 強い植物の根に、足を取られていた。

 その1秒は、10倍ほどに引き伸ばして感じられ、スローモーションどころか、ストップモーションにさえ思えた。

 とにかく。

 景子は、反射的に膝を折った。

 身体ではなく、膝から落ちようと必死に努力したのだ。

 甲斐あって。

「………!」

 景子は、膝で地面を叩いていた。

 い。

 たくない。

 歯を食いしばる。

 そして、慌てておなかを見たのだ。

 ぴかぴか。

 ああ、よかった。