☆
「ああそうか…命を狙われているんだったな、私は」
自分の行動の浅はかさに気づいたらしく、ロジューは苦笑気味に笑った。
ついさっきまで、兵士を引き連れて歩いていたというのに、なかなか自覚が持てないようだ。
しかし、景子はそれどころではなかった。
何か、おかしい。
猛烈な違和感が、自分を包むというのに、それをうまく思考にすることが出来ない。
一歩、ロジューへと歩み寄る。
「まあ、大丈夫だろうが、お言葉に甘えるか…先に飲んでいいぞ」
意地悪な笑みを向けながらも、彼女は水を注いだ杯の匂いを嗅いだ後、彼女へと差し出す。
毒など入っていないと、その瞳は確信しているようだった。
景子が、重たい自分の腕で、その杯を受け取った次の瞬間。
ゴンゴンゴン!
物凄い音で、ノッカーが打ち鳴らされた。
「誰だ!」
その乱暴な音に、ロジューは厳しい声を返す。
「ダイエルファンです…失礼致します」
扉が──開いた。
ダイ、だ。
あのダイが、来たのだ。
景子は、共に旅をした男を振り返りたかった。
なのに。
なのに、自分の身体がうまく動かない。
「愚甥の護衛か…こんな不躾な真似をするとは、どういうことだ!」
ロジューの怒鳴り声に、しかし、ダイの気配は動かない。
部屋の内側に入り、ただ立っているのが、振り返らなくても分かる。
「ここで沙汰を待てと…何ひとつ、動かすなと申し付かりました」
確固たる意思の声に、ロジューが目を吊り上げようとした直後。
その目が、はっと景子に向いた。
あれ。
何で、私。
水を飲もうとしてるんだろう。
ああ、そうか。
この部屋の、何かがおかしかったんじゃない。
私自身が──おかしかったんだ。
「ああそうか…命を狙われているんだったな、私は」
自分の行動の浅はかさに気づいたらしく、ロジューは苦笑気味に笑った。
ついさっきまで、兵士を引き連れて歩いていたというのに、なかなか自覚が持てないようだ。
しかし、景子はそれどころではなかった。
何か、おかしい。
猛烈な違和感が、自分を包むというのに、それをうまく思考にすることが出来ない。
一歩、ロジューへと歩み寄る。
「まあ、大丈夫だろうが、お言葉に甘えるか…先に飲んでいいぞ」
意地悪な笑みを向けながらも、彼女は水を注いだ杯の匂いを嗅いだ後、彼女へと差し出す。
毒など入っていないと、その瞳は確信しているようだった。
景子が、重たい自分の腕で、その杯を受け取った次の瞬間。
ゴンゴンゴン!
物凄い音で、ノッカーが打ち鳴らされた。
「誰だ!」
その乱暴な音に、ロジューは厳しい声を返す。
「ダイエルファンです…失礼致します」
扉が──開いた。
ダイ、だ。
あのダイが、来たのだ。
景子は、共に旅をした男を振り返りたかった。
なのに。
なのに、自分の身体がうまく動かない。
「愚甥の護衛か…こんな不躾な真似をするとは、どういうことだ!」
ロジューの怒鳴り声に、しかし、ダイの気配は動かない。
部屋の内側に入り、ただ立っているのが、振り返らなくても分かる。
「ここで沙汰を待てと…何ひとつ、動かすなと申し付かりました」
確固たる意思の声に、ロジューが目を吊り上げようとした直後。
その目が、はっと景子に向いた。
あれ。
何で、私。
水を飲もうとしてるんだろう。
ああ、そうか。
この部屋の、何かがおかしかったんじゃない。
私自身が──おかしかったんだ。


