☆
「こんな夜更けに、何事だ…カナルディシーデンファラム」
小さい訪問者に、ロジューは優しくはなかった。
アディマに対してもそうだが、彼女は誰に対しても態度がそうだ。
相手のサイズが小さくても、まったくもって手加減がない。
ようやくつまみ上げた身体を床に戻しながらも、不機嫌な態度は崩さなかった。
「そうそう、叔母上様にすごい情報を持ってきたのよ、私!」
カナルディと呼ばれた姪は、胸を張る。
あれ?
景子は、微かな違和感を覚えた。
この子──ぴかぴか光ってない。
同じことが、イデアメリトスの長の時もあった。
おそらく、どうにかして自分を光らないようにすることが出来るのだろう。
さすが、魔法一族。
不思議だ。
「すごい情報?」
甲高い声のカナルディを、とりあえずロジューは部屋に放り込むことにしたようだ。
そして、扉を閉ざす。
すごいイデアメリトスの情報を、人に聞かれる範囲で語られても困るからだろう。
って、ちょっと待って。
私も出なきゃ。
景子が、ソファから下りて部屋から逃げるよりも。
カナルディのおしゃべりな唇の方が、到底速かった。
「あのね、あのね…叔母上様! 叔母上様が、お兄様のお妃第一候補なんだって!」
空気が。
止まった気がした。
部屋の中は、ずっとロジューの魔法で涼しい空気が動いているというのに、一瞬景子の周りだけ、音と涼しさが消えたのだ。
じっとり。
背中に、嫌な汗が伝う。
「ああ…何だ、そんな事か。さっき兄者から聞いた」
あっさりとロジューは──姪の大ニュースを蹴っ飛ばしたのだった。
「こんな夜更けに、何事だ…カナルディシーデンファラム」
小さい訪問者に、ロジューは優しくはなかった。
アディマに対してもそうだが、彼女は誰に対しても態度がそうだ。
相手のサイズが小さくても、まったくもって手加減がない。
ようやくつまみ上げた身体を床に戻しながらも、不機嫌な態度は崩さなかった。
「そうそう、叔母上様にすごい情報を持ってきたのよ、私!」
カナルディと呼ばれた姪は、胸を張る。
あれ?
景子は、微かな違和感を覚えた。
この子──ぴかぴか光ってない。
同じことが、イデアメリトスの長の時もあった。
おそらく、どうにかして自分を光らないようにすることが出来るのだろう。
さすが、魔法一族。
不思議だ。
「すごい情報?」
甲高い声のカナルディを、とりあえずロジューは部屋に放り込むことにしたようだ。
そして、扉を閉ざす。
すごいイデアメリトスの情報を、人に聞かれる範囲で語られても困るからだろう。
って、ちょっと待って。
私も出なきゃ。
景子が、ソファから下りて部屋から逃げるよりも。
カナルディのおしゃべりな唇の方が、到底速かった。
「あのね、あのね…叔母上様! 叔母上様が、お兄様のお妃第一候補なんだって!」
空気が。
止まった気がした。
部屋の中は、ずっとロジューの魔法で涼しい空気が動いているというのに、一瞬景子の周りだけ、音と涼しさが消えたのだ。
じっとり。
背中に、嫌な汗が伝う。
「ああ…何だ、そんな事か。さっき兄者から聞いた」
あっさりとロジューは──姪の大ニュースを蹴っ飛ばしたのだった。


