☆
村は──祭りになって、しまった。
景子は、一番いい席に座らされ、死ぬほど居心地の悪い気分を味わわされる。
さっきから、リサーが下座から睨んでいる気がするのは、やっぱりこの席次のせいだろうか。
彼の方を見ないようにしながら、景子は戸惑いながらもてなしを受けるだけだ。
「最初は、頭のおかしな娘が来たと思っちまったよ…悪かったなあ」
無愛想だった髭のおじさんが、ぼそぼそと隣で呟いた。
あ、あは。
景子は、苦笑しながら彼の正直な言葉に耳を傾ける。
そうしている内に、村人がどんどん寄ってきて、うちの畑もと言い出してきた。
しかし、既に実りはピークに近い。
今更、増やすことなど無理な話だ。
次の実りを、信じてもらうしかない。
話を聞くと、豆と穀物を交互に植えるのは、この村では難しいらしい。
豆は、税として収められないというのだ。
なので、豆の作付面積の方が、圧倒的に少なかった。
そうなんだ。
刈り入れが終わったら、水を張って数日間放置。
その後、水を抜いてから、貯めておいてもらった豆の枯れ草を畑に入れて耕してほしい──いま出来る助言は、そんなところだった。
村長と呼ばれる人が出てきて、絶対にその通りにすると誓ってくれる。
いや、そ、そこまで誓わなくてもいいから。
自分を見る目が違いすぎて、景子は困ってしまった。
この知識は、いわばズルっこの知識なのだから。
多くの祖先が、沢山の失敗や技術の発展で手に入れた、蓄積されたもの。
それを、景子はパクンと丸呑みしたに過ぎない。
逆に。
この村で、彼女が大失敗をしていたならば、今頃、石を投げられて追われていたかもしれないのに。
ふと、昔のいやな記憶がよみがえりかけて、景子はそれにふたをした。
お天道様の目がなければ、ここで一晩で結論を出すことは出来なかっただろう。
しかし、それは日本では、彼女に恩恵を与えてくれるばかりではなかったのだ。
ただ、いまだけは。
この目に──感謝をしたかった。
村は──祭りになって、しまった。
景子は、一番いい席に座らされ、死ぬほど居心地の悪い気分を味わわされる。
さっきから、リサーが下座から睨んでいる気がするのは、やっぱりこの席次のせいだろうか。
彼の方を見ないようにしながら、景子は戸惑いながらもてなしを受けるだけだ。
「最初は、頭のおかしな娘が来たと思っちまったよ…悪かったなあ」
無愛想だった髭のおじさんが、ぼそぼそと隣で呟いた。
あ、あは。
景子は、苦笑しながら彼の正直な言葉に耳を傾ける。
そうしている内に、村人がどんどん寄ってきて、うちの畑もと言い出してきた。
しかし、既に実りはピークに近い。
今更、増やすことなど無理な話だ。
次の実りを、信じてもらうしかない。
話を聞くと、豆と穀物を交互に植えるのは、この村では難しいらしい。
豆は、税として収められないというのだ。
なので、豆の作付面積の方が、圧倒的に少なかった。
そうなんだ。
刈り入れが終わったら、水を張って数日間放置。
その後、水を抜いてから、貯めておいてもらった豆の枯れ草を畑に入れて耕してほしい──いま出来る助言は、そんなところだった。
村長と呼ばれる人が出てきて、絶対にその通りにすると誓ってくれる。
いや、そ、そこまで誓わなくてもいいから。
自分を見る目が違いすぎて、景子は困ってしまった。
この知識は、いわばズルっこの知識なのだから。
多くの祖先が、沢山の失敗や技術の発展で手に入れた、蓄積されたもの。
それを、景子はパクンと丸呑みしたに過ぎない。
逆に。
この村で、彼女が大失敗をしていたならば、今頃、石を投げられて追われていたかもしれないのに。
ふと、昔のいやな記憶がよみがえりかけて、景子はそれにふたをした。
お天道様の目がなければ、ここで一晩で結論を出すことは出来なかっただろう。
しかし、それは日本では、彼女に恩恵を与えてくれるばかりではなかったのだ。
ただ、いまだけは。
この目に──感謝をしたかった。


