☆
ああああ。
景子が、ルート変更の説明を、しどろもどろにアディマにしている間。
リサーの眉間の皺が、どんどん深くなっていくのが分かったのだ。
「ああ、でも…わ、私と菊さんだけで行くから」
だが、そう付け足した瞬間のリサーの顔は、まるで陽が差したように明るく晴れやかに変わる。
彼が、二人の離脱をとても喜んでいることだけは、はっきりと伝わってきた。
よほど、景子たちが邪魔らしい。
だが。
「どうせ急ぐ旅ではないから…僕らも、そちらのルートをゆこう」
アディマが、そんなことを言ったがために。
「「………!!」」
また、リサーと景子の息が合うこととなったのだ。
「いけません、我が君。この街道でないと、次の領主のところへゆくのに遠回りになってしまいます」
そして、彼の忠実なる従者は、もっともな意見を情熱的にぶつけるのである。
コクコクと、景子も頷いた。
これは、あくまでも彼女のワガママの範疇の話なのだ。
どうしてそれに、アディマを巻き込めようか。
「何? 若さんも行くって?」
二人の様子で、菊にまで会話が筒抜けたようだ。
彼女は、とても面白そうに目を細める。
い、いや、面白くないから。
「リサードリエック…時間は、余るほどにあるよ」
「安全は、余るほどにございません!」
主君の言葉に、それでもリサーは食い下がる。
ふむ、と。
アディマは、ここを強硬に通す気配はないようで、しばらく考え込んだ。
景子は、それにほっとしかけた。
菊と二人で行かせてもらう方が、よほど気楽だった。
それか、行くことをあきらめるか。
話の流れは、前者に傾きかけたように見えた。
なのに。
「では、リサードリエック…お前が、この二人と同行してもらおうか」
アディマの結論は──遥か高みにぶっとんだのだ。
「「………!!」」
そして、リサーと景子の目を飛び出させたのだった。
ああああ。
景子が、ルート変更の説明を、しどろもどろにアディマにしている間。
リサーの眉間の皺が、どんどん深くなっていくのが分かったのだ。
「ああ、でも…わ、私と菊さんだけで行くから」
だが、そう付け足した瞬間のリサーの顔は、まるで陽が差したように明るく晴れやかに変わる。
彼が、二人の離脱をとても喜んでいることだけは、はっきりと伝わってきた。
よほど、景子たちが邪魔らしい。
だが。
「どうせ急ぐ旅ではないから…僕らも、そちらのルートをゆこう」
アディマが、そんなことを言ったがために。
「「………!!」」
また、リサーと景子の息が合うこととなったのだ。
「いけません、我が君。この街道でないと、次の領主のところへゆくのに遠回りになってしまいます」
そして、彼の忠実なる従者は、もっともな意見を情熱的にぶつけるのである。
コクコクと、景子も頷いた。
これは、あくまでも彼女のワガママの範疇の話なのだ。
どうしてそれに、アディマを巻き込めようか。
「何? 若さんも行くって?」
二人の様子で、菊にまで会話が筒抜けたようだ。
彼女は、とても面白そうに目を細める。
い、いや、面白くないから。
「リサードリエック…時間は、余るほどにあるよ」
「安全は、余るほどにございません!」
主君の言葉に、それでもリサーは食い下がる。
ふむ、と。
アディマは、ここを強硬に通す気配はないようで、しばらく考え込んだ。
景子は、それにほっとしかけた。
菊と二人で行かせてもらう方が、よほど気楽だった。
それか、行くことをあきらめるか。
話の流れは、前者に傾きかけたように見えた。
なのに。
「では、リサードリエック…お前が、この二人と同行してもらおうか」
アディマの結論は──遥か高みにぶっとんだのだ。
「「………!!」」
そして、リサーと景子の目を飛び出させたのだった。


