「つきあってるけど、デートしたことないじゃん」

そうだけど…。

確かに、つきあってるのに私たちは1回もデートをしたことがないよね。

「だから、その…」

真っ赤な顔を隠すように、一也さんはうつむいた。

恥ずかしいんだろうな。

言われた方は嬉しいかも知れないけど、言う方の立場は恥ずかしいんだろうな。

相当勇気がいるよね?

そう思いながら
「いいよ」

私は言った。

「デート、してもいいよ?」

してもいいよって、発言が上から目線じゃないの。

私ってかわいくないなと思った。

「ホント?」

嬉しそうな一也さんの顔があがった。

彼の顔を見ながら、私は首を縦に振ってうなずいた。