お礼を言おうと顔を上げたが、女性はどこにもいなかった。





そこに、コンビニの袋が置いてあるのに気づき中を見ると水とお茶、薬、封の切ってないカイロが入っていた。





言葉に甘え、水を一口飲み深くベンチに座った。





「大丈夫かい?」





またも話しかけられ、目だけを動かすと年配の男性が立っていた。





「歩けるかい?」


「は?」


「いつまでもいたら寒いだろ?住所を教えてくれ。」




怪しいという顔が全面的に出てしまったのか、男性は軽く笑い出した。





「わははは。心配しなくて大丈夫ですよ。私はタクシーの運転手です。お客さんを迎えに来たんですよ。」




タクシー?





タクシーなんか呼んでない。





益々怪しく思えた。





「名前はわかりませんが、女性から電話がかかって来まして、公園で若い男性が体調悪そうにしてるから家まで送ってと言ってきたんですよ。それってお客さんの事でしょ?」





女性って……さっきまでここにいた人だよな?





顔を見てないからどんな人かわからないがタクシーまで呼んでくれたのか……。