「うちはすぐに話しが逸れるし、奥さんがかなり天然なんだよ。」





そう言いながらも嬉しいそうな表情を浮かべる新名部長。





「あれ、高杉くんも今日から愛妻弁当?」


「まぁ…。」





愛妻ではないんだが…。





「言っちゃなんだけど、かれんとまりあちゃんは料理上手だから僕達は幸せ者だよね。」





………幸せか?





「あの、かれんって……。」


「かれんは僕の奥さんの名前だよ。」


「そうですか……。」





新名部長とエレベーターに向かい、課のある階を押す。





「新名部長〜、高杉課長〜、おはようございますぅ。」





香水のキツイ社員が体を押し付けてくる。





語尾を伸ばすな語尾を!





口には出さないが、気持悪い。





「おはよう。」


「おはよう。ところで、君。」


「はい?」


「香水を付けすぎだと思うよ。他人の迷惑も考えた方がいい。こういう密室では気分が悪くなるし、これからは控えてくれ。じゃあ、高杉くん。」





自分の階に着くまで、そう言い放ちさっさと降りて行ってしまった新名部長。