●美波Side●

“好き”

この言葉が頭を駆け巡る。


足もとに掛かっていた掛布団をいっきに引っ張り頭のてっぺんまでかぶった。


何がどうなってんのよ!

慎吾がわたしを好き?

ねぇ‥誰か教えてよ!

わたしだって‥

ずっと慎吾のこと好きなのに。




ガラ‥

「美波‥もう寝たの?」


真琴が戻ってきたみたい。

でも真琴に返事なんて出来なくて、そのまま目をギュッと瞑った。


―ごめんね、真琴‥


そう思うけど、心の奥底では真琴への疑心が溢れてる‥。

どうしようもないやりきれなさが身体に脱力感を与えていた。



――慎吾‥


一言心の中で呟くと、次第に眠りに落ちていった。