わたしのためにそこまでしてくれようとした稚早の気持ちが嬉しくて。
情けないわたしを、稚早の気持ちを利用したわたしを、まだ好きでいてくれることが嬉しくて。
わたしのことを本気で考えてくれてることが何より嬉しくて。
嬉しくて、嬉しくて、幸せだなって思ったら、自然と笑いが零れた。
好きってわけではないけど、ずっと大切にしていきたい、って思うよ。
でも、慎吾はね、
一緒に幸せになりたい、って思うの。
慎吾のそばで、笑顔の溢れた中で。
慎吾はわたしを奈落にも突き落とすけど、誰よりも幸せな気持ちにしてくれる。
何気ない言動が宝物みたいに貴重で、大切で、輝いてる。
携帯を閉じて、パジャマがわりのジャージのポッケに入れた。
数分間、その場所で、納屋にもたれかかり星空を眺めて物思いにふけった。
自分の頭を切り換えると、すっと立ち、母屋の玄関の方へ歩きだす。
一歩、二歩、三歩…
そんなに歩いたわけではないけど、少し歩くと、声が聞こえてきた。
「別れよう…」
って。

