真琴に「ごめんね」と口パクで伝えて、部屋から出て誰もいない庭に向かった。


もしかしたら、勢いで慎吾のことを真琴の前で言っちゃうかもしれない、っていう万が一のことに備えて。



庭には畑があり、母屋から少し歩いたとこに納屋もある。

その納屋の裏に誰にも気づかれないよう隠れた。




「慎吾とかいうヤツ見てるお前、ツラそうだよ。」


少しトーンが低い。

心配してくれてるの?



でも・・・

ツラいは違う。



ツラいを完全に否定は出来ないけど、ツラいが一番じゃない。



わたし・・・

情けないの。




今日ね、スゴく思った。



だから、今はツラいわけじゃない。





真琴に嫉妬して

迷惑ばかりかけて

自分からは何もしようとしない。



そんな自分が情けない。




真琴だって、自分から行動をおこして慎吾の彼女になった。


それに比べてなんにもしてない。



「好き」って伝えたことなんて一度もない。




それで嫉妬してても意味がない。

自分から行動を起こさなきゃ。


そう思った。




「稚早・・・
一度聞いてみたかったことがあるの。」


「なに?」


「わたしのどこが好きだったの?」