●美波Side●

日が暮れて、すっかり夜になった。

なんとなく男女に分かれて部屋で過ごしている。


お風呂もみんな済ませて、後は寝るだけ。

でも、興奮して寝付けるわけがない。

真琴と女の子同士の話ってやつ?

盛り上がっちゃって、盛り上がっちゃって。


笑いが絶えない。



こんなに真琴と語ってんのも、笑い合ってんのも久しぶりかもしれない。




それを遮るかのようにケータイの着信音が突如鳴り響いた。


聞き慣れた着信音で自分のだと気づいてケータイを手にとると、ディスプレイには“稚早”という文字。


ほっとこうかとも思ったけど、「出なよ。」という真琴の声におされて、通話ボタンを押してしまった。


電話の向こうからは、テンションの高さがうかがえるほどの稚早の明るい声。


真琴との会話の途中だったし、そんなに喋ることなかったし、適当に喋って切るつもりだった。


けど、そうも思ってられなくなった。

稚早のたった一言で。



「慎吾なんか止めろよ!」


ケータイを持つ手に一瞬、力が入った。