気がつくと夕方になっていた。


店の客は少なくなり、窓からの景色も赤く染まりつつあった。




「わっ!!もうこんな時間。
おばあちゃんが待ってる。」


美波が店の時計を見るなり音を立ててイスから立ち上がった。



時計は6時を指している。




美波はあたふたしながらグルグルと歩きまわる。


落ち着けとみんなで言っても、オロオロと動きまわる。



「美波ちゃん、落ちつきなさい。
おじさんが送ってあげるから。」


オーナーが美波に優しく温かな笑顔を向けて言った。



美波は安心したのか歩くのをやめ、オーナーに笑顔でお礼を言った。


独り占めにしたいくらいの笑顔で。



俺だけじゃない。

慎吾も稚早というヤツも美波を見つめていた。