カップに残っていたコーヒーをいっきに飲み干した。


カップから口を離して、少しため息をつくと、目の前で真琴を気づかう慎吾の姿に気づいた。



俺は慎吾の決心なんかこれっぽっちも知らなかった。

だから、この行動も真琴への彼氏としての態度かと思っていた。



慎吾は真琴の足を心配して話しかけ、真琴は大丈夫だよ、と笑い返す。

二人の距離は確かに近いものだと思った。



そんな二人の姿に嫉妬して、傷つくのはただ一人。


美波だけ。


美波の気持ちが手にとるように判るから、俺もツラくなる。

相澤稚早と付き合ったことは除いても、確かに涙した日は幾日もある。


その様子をずっと傍で見ていたからこそ、何を思い、感じているのかが判る。




恋愛って難しいよ。