「ただいま~」



あっ

帰ってきたよ!


いつも通りに彼を玄関まで迎えに行く。



「おかえりなさい。お仕事疲れたでしょ?」

彼が持ってたカバンを受け取り両手で抱え持つ。


「う~ん、今日はそうでもないかな」


「そっか…。ねぇねぇ」


「ん?」


「話したいことがあるの」


「ん?何?」


「あのね…」


「うん」


「赤ちゃん…できたみたい」


「…」


彼は信じられないと言わんばかりの表情でゆっくりとわたしに近づいてきて、膝からドタンと玄関先の床に座り込みわたしのお腹に抱きついた。


「ありがとう」


彼の震える声に抑えのきかなくなったものが頬を伝い、流れ落ちる。



赤ちゃん…


赤ちゃん…


アナタもわたしも幸福者だよ。



「…アキラ」


「グレニス、ありがとう」



fin.