どうしたって何が…

「お前…、なんで泣いてんだよ」

そう言われて手で頬をなぞってみたら水分が手について、それで初めて気がついた。泣いてるってことに。

「ごめんって」

頭をかきながら賢夜が謝ってくるから首を振る。

違うの。賢夜のせいじゃない。賢夜のせいじゃないんだよ。


ツラいよ。
悲しいよ。

好きって伝わらないって、自分の気持ちまで否定されて、恋って難しいよ。



「賢夜~~~~」

思わず子どもみたいに声を出して泣いて賢夜にしがみついた。


と思ったらしがみつこうとした腕が空を切って、体が後ろに倒れるように傾いていた。

引っ張られる。
てか、このままいったら後ろに倒れちゃう。

怖くなって声がでなくてその代わり賢夜に目で訴えても、賢夜はわたしなんて見てなくてわたしの後ろを唖然と見ていた。


なに?なに?

後ろに目線をもっていこうと首を回そうとした瞬間、どんっと背中がなにかにぶつかった。


肩に添えられる手。
掴まれてる一方の腕。

ビックリして上を向くとそこには杜伊くんの顔があった。


でも、なんか機嫌悪い?



「杜伊くん」

「なんで男の胸で泣いてんの?」

そう見下ろす目は冷たくて、ビクッと体が震えた。

なんでそんな目で見られなきゃいけないの?
泣いてんのだって杜伊くんが原因なのに。

杜伊くんが好きで泣いてるのに。

好きじゃないなら、嫌いなら、わたしのことどうでもいいって思ってるなら、こんなことやめてよバカ。

バカだよ。
杜伊くんはバカ。

「バカ~~~~」

杜伊くんの腕の中でも子どもみたいに泣くわたしに杜伊くんはビックリしてた。

「好きなの。杜伊くんが好きなの。なんで信じてくれないの~」