きっと俺は初めて君を見たときからキミに惹かれていた――――


就職難であるこのご時世に大学を卒業してすぐに大手企業に就職できたのは幸運だった。


頑張れば頑張るほど成果をあげ、入社2年で主任になった。


そんな俺はできる男としてあらゆる女がすりよってきた。


俺を出世頭と決めつけ、将来の地位を求めて近づいてくる。


女には困らないが、そんな女と付き合うほどプレイボーイでもない。


そんな俺の目を引いたのがキミだった。


見た目はキレイ系。
スタイルもいい。
しかも仕事が出来る。


こんな女なんてこの会社にはたくさんいる。


見た目を重視しているかのように、中の上以上の女ばかりだ。


だけどキミはキレイでスタイルもよくて仕事も出来るのに、何故かおっちょこちょいだった。


「きゃっ」


ほら、今日もまた彼女の声が聞こえる。


「あっあの…コレ…」


「ん?どれ?」


困ったようにパソコンの画面を指差すキミに隣の席の男がその画面を覗きこむ。


「なんか消えちゃって…」


「あぁ~コレはね…」


そう言って素早く対処していく男に少し嫉妬も覚える。


あんなに近づきやがって…


眉間にシワがよるのを自分でも感じると、冷静になろうと体から力を抜いた。


「あっ、ありがとうございます」


そう男に笑いかける姿はホントにキレイだ。


あぁ…今日もまたライバルが増えた。


これで何人目だろうか。


キミは全く気づいていない。


その笑顔で何人もの男がキミに夢中になっていることを。


俺も…その一人だ。


おっちょこちょいなキミに惹かれ、笑顔のキミに恋をした。