石段をのぼりきると、そこに現れた景色に呆然とした。
なに、ここ…
こんな場所…
「気に入った?」
慎吾がわたしの顔を覗き込んだのをきっかけに我にかえると、その景色に見入った。
「すご…ぃ、きれー!!!」
高台からはこの街の景色を一望できた。
さっき通ってきたラブホ街のネオンもすごく綺麗。
夜の漆黒に輝く家やビルの灯りにネオン。
こんなとこがあったなんて。
「慎吾…嬉しい。」
「ん?」
「連れてきてもらえてホントに嬉しい!ありがとう!」
「うん。ずっと美波とここに来たかった。誰にも教えたことない秘密の場所」
「…慎吾」
「真琴も連れてきてことない」
「…そう」
「?どーした?」
「慎吾…大好き」
その言葉と同時にそっと慎吾の背中に両手を回した。
温かい。
慎吾の温もりに安心する。
慎吾もわたしの背中に手を回してきた。
「…俺も美波が好きだよ」
幸せだ。
こんなにも幸せ。
誰かに包まれて誰かに愛してもらって、わたしも愛して、こんなにも幸せな気持ちで溢れてる。
慎吾の彼女になれてホントによかった。
「慎吾、わたし…幸せだよ」
――――――――…
わたしの幸せを感じた瞬間。
fin.