いいんだけどさ、別に平気なんだけどさ……うん、うそ。怖い。
明るい電灯や灯りがあるわけでもなく、薄暗い石段上るのって正直怖い。
だから、慎吾に掴まる腕に力が入って、より一層慎吾にくっついた。
「なに?怖いの?」
そう慎吾が笑顔っていうかニヤニヤ言ってくるから、正直に言うのを最初はためらった。
だけど、周りを見るとやっぱり怖いっていう気持ちが強くなって、
「怖いよ」
腕にギュッてつかまったまま慎吾を見上げた。
「…お前、その顔反則だろ」
えっ?
「ひっどーい!いくら不細工だからって反則とか…いいよ、いいよ、自重します~」
反則ってなにさ、反則って。
いくら彼氏だからって、彼女の顔に反則…
そんなに不細工ならなんで付き合ってるんだ!
てか、薄暗い中で不細工とかわかるのかな?
「ちょっとお前、なにそれ。勘違いしてんなよ。不細工って言ったわけじゃねー………あぁー」
話が途切れたと思ったら慎吾は嫌な感じに「あぁー」って言葉を吐いた。
「えっ?不細工じゃない?えっ?だったら…えっ?
もしかして…」
「んだよ。こっち見んな」
わたしに顔を見せなくてもそう照れたように言うから、なんだかこっちまで照れてしまった。
うんうん。
どうやら不細工ではないらしい。
よかった。