これはわたしが慎吾と初めてデートした時の話。

―――――――――…

ちょっと待ってよ。

ちょっ…ここ、ちょっと…まずいんじゃ。

キラキラと赤、白、ピンク、青、いろいろなネオンが輝く看板をぶら下げたビルが左右、前後を見回しても建ち並ぶ場所。

しかも、看板の文字も、『LOVE MEMORY』や、『ヴィーナス』、『RYUGU』などなど…。まさしくメルヘンな文字ばっかり。

誰がどう見ても、子どもの教育にはあまりよろしくない場所。

わたしでもこんなところ気が引ける。てか、どうどうとこんなところ歩けるようなまだそんな強い心臓は持ってないよ。

だって、だって、慎吾とそんなことしたことないし、てか、誰ともそんなことしたことないよ。うん、つまりは俗にいうヴァージンっていう。

だって、今まで誰ともつき合ったことないし、仕方ないじゃん!慎吾とだって、つき合ってまだそんなに経ってないし。……キスだって、まだ…片手で数えられるくらいしか…。

………………ほんとはもっとしたいのに。

やっとつき合えたのに。ずっとずっと好きで、色んな事も片づいて、二人の時間だって増えたのに…これじゃぁ、つき合う前とあまり変わらない。

好きなのに。好きなだけなのに。ううん、好きだから、もっと求めてほしいって思うのかな?

でも、だからって、そんなっ!いきなり…前触れもなく…。

ううん、てか、初めてがこんなところでなんて、やだやだやだ!!!!

ううん、それよりもなんで初めてのデートがこんなとこなのよーーーー!!!!ひどい!