「ちっ違うから!誤解すんな」

そうわたしの肩を揺らす慎吾。

違うっていうなら、誤解すんなって言うなら、そんな動揺して言うな!

「この名刺、そんなんじゃないから!」

そんなんじゃないって、じゃぁ一体どんなだっていうのよ。

「美波…」

困ったように呼ぶな。

責められてる気分になる。

わたしが悪いわけじゃないのに、わたしが悪いみたいに聞こえる。

聞くんじゃなかった。

後悔とか悲しい気持ちしか残らない。

やだ、もう。

「美波!」

「…何」

「っお前…、俺のこと信じられない?」

信じ…てないわけじゃない。ただ、信じたい。

だけど、そんな態度とられたら、なにか疚しいことでもあるのかなって思ってしまうよ。

つき合ってもう1年にもなるんだよ?ううん、十なん年一緒にいるんだから、どんなことで不安になるかくらいわかってよ。

でも、慎吾はそんなことしないってわかってる。

わたしを不安にさせるようなことなんてしないって。

それは、慎吾を信頼してるから思える。

だけど、全部が全部、わかるわけでも、理解できるわけでもない。

言ってくれなきゃわかんないことがたくさんあるんだよ。

「ちゃんと説明して。その説明次第で信じれるか信じられないか決まるんじゃないの?説明もないのに、信じられないのかって聞くのはおかしい」

「…」

「説明できない?」

「いや、そうじゃなくて」

「…」

「まいったな…」

「…」

「コレは…あ゛ぁ~!!言っとくけど、今からいうこと秘密だからな!」

「…」

「コレは、文化祭でやる女装カフェの俺の名刺だよ」

「…」