藍海と賢夜は飽きてきたのか二人でじゃんけんをして遊んでいた。


もう今日は聞けないのかな?


そう思ったときだった。


「わかってるから」


えっ?


「晃がどうして今日会いにきたのかも。わたしに何を言ってほしいのかも。全部わかってる」


…美波。


「わかってたけど、言ったらホントにお別れかもしれないって思ってなかなか言えなかった。でも、ダメね。晃の幸せのためだもの」


…美波。
お前の涙なんか久しぶりに見たよ。そうまで俺のことを…思ってくれるのか。


「…美波」

「晃、恐れないで。晃なら幸せにしてあげられる。自信もって。幸せをねがってる。二人で幸せになってね。

晃…大好きだよ」


そう微笑んだ。


そうだ、俺は美波に言ってほしかった。“好き”って言ってほしかった。俺の気持ちを本当の意味で確かめたくて。


ありがとう、美波。
やっぱり、すげぇな。誰より俺のことを理解してくれる。きっと、慎吾もそう思ってるんだろうな。…敵わないよ、まったく。


でも、これで俺、堂々と結婚できるよ。


「俺も、美波が好きだよ」


“幼なじみ”として。

……やっと、美波と同じ気持ちになれた。


――――――――…

これは俺の気持ちが本当の意味で整理できたときの話。


fin.