そっか…

部長がいたから。

部長がまもってくれていたのね。


どうしよう。

置いてきちゃった。

部長、寂しいよ。隣にいてよ。

ぶちょー…


そんなことを今更思ってしまっても遅い。後悔先にたたず、なんていうけどホントにその通り。

隣に部長の気配がないってだけでこんなにも後悔の気持ちがいっぱいになる。

はぁ…

ため息を一つこぼして、どうしようもない気持ちのまま電車に乗り込む。

電話してみようかとケータイの部長の番号を画面に出してみるも罪悪感からか通話ボタンを押す勇気がでなかった。

電車に乗り込んでも画面には部長の番号が残ったままの状態。

いつもの時間のいつもの電車。

この電車に一人で乗るなんていつぶりか分からない。

結婚する前から一緒に住んで、今のマンションだって前わたしが住んでたとこに近いとこだし。

付き合いだして以来だ。

何ヶ月ぶりだろう。

新鮮っていったら新鮮なんだろうけど。

でも…こんな新鮮なんかいらない。

部長が傍にいて、嬉しい新鮮さがある。

結婚した今だって部長はなにかとモテる。

背は高いし、整った顔だし、出世頭だし、言い寄る女はいっぱい。

そりゃー、わたしは中の中くらいの顔でしかなくて、キレイなお姉さんからしたら面白くないだろうし、わたしだってホントに部長はわたしで良かったのかな?とか思うことある。

自分に自信がもてないからかもしれないけど、部長がモテるのは面白くない。

だから今日だって…あんなの別に怒ることじゃないのに。

つい…