出てきたパパとママに丁寧に挨拶して、慎吾はわたしのスーツケースも持ってくれた。


「なんで女ってこんなに荷物多いんだ??」

わたしのスーツケースを押しながら、顔をしかめて慎吾が言った。


慎吾の荷物を見るとスポーツバッグだけ。

わたしは逆に疑問に思った。


「なんで男の子は荷物がそんなに少ないの??」

って。



そしたら慎吾は

「最低限の必要な物しかないから。」

って自分のスポーツバッグをポンっと叩きながら言った。


必要最低限ねぇ…

「わたしも必要最低限な物しか入ってないんだけど」

頬に手をあてて苦笑いして答えた。


慎吾は笑いながら、「そかそか」と言って、歩調をわたしに合わせてくれた。



慎吾の何気ない優しさが嬉しい。

このままこの幸せが続けばいいのに―――…







絶対にありえないことを願いながら、慎吾の横を歩いた。



そしてこの旅行で、わたしたちの関係は少しずつ変わり始めた。