「あーきら!」
「っわ!!」
突然に目の前に現れた美波。
驚きのあまり一歩後ろに下がった。
「なぁにしてるの?」
好奇心旺盛な子どものような表情をして、顔をのぞきこんできた。
「なんでもねーよ…」
少し照れて、そっぽ向いた。
「海の中にね、綺麗な貝殻があるの。真琴もね、それ見つけて慎吾にあげに行ったの。晃も見つけよ?」
そう言って、俺の手を引いて海の中に入ろうとした。
うげぇ~…
濡れるのかよ…
でも美波の楽しそうな横顔を見てたら、それもいいかな?って思えてきた。
「判ったって。ちゃんと探すから。引っ張るなよ」
「ホントだね?」
後ろを振り向いて、笑顔を振り撒いて、手を離した。
久しぶりに見たかも…
こんな…美波の笑顔。
もう何年も見てなかったのに。